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『15歳からのニッポン文学』書評 と 紹介記事のある「朝日新聞」



【書評】

『15歳からのニッポン文学』              島崎市誠     

               

 この20年間ずっと日本語と日本文学と日本文学教育受難の日々が続いている。日本人は日本語を使えるのが当たり前とはい

かにも他の国から海で守られた島国独特の発想かもしれない。しかし「ゆとり教育」で一番不信感を持ったのが子を持つ親

たちであったように、書店ではあまり文学等に関係のなさそうな人々が日本語に関する書籍を明らかに求め始めている。

それも専門的な本としてではなく、また啓蒙的ではなく、文字通り文化遺産としての日本語を享受しようという形ではっきり

と出ている。例えば現在は写経のように『奥の細道』を書き写す本がベストセラーになったりしている。

本書はまさにそうした世間の隠れた需要を見越したものといってよい。内容は若い人たちが小説に対して国語の教科書

的に何かを習う、というところから出来るだけ離れて、とにかく日本の文学作品を楽しもう、という方針で貫かれており、全

体は三部構成になっている。

第一章「作家が選んだベスト文学」では小川洋子、内藤みか、成田良悟という現在の人気作家たちが、思いもかけない小

説を評価していて興味深い。第二章「テーマごとに作品を読む」は本書のメインであるが、この本の副題にもなっているよう

に各項目の担当者たちが「勝手に純文学ランキング」していて、作品を読んでいない若い人たちにはどれから読もうかとい

うときの、よいきっかけを与えてくれると思われる。第三章「有名作家作品ランキング」では村上春樹、夏目漱石、川端康成

、宮沢賢治、大江健三郎の五人の作家が選ばれているが、彼らの作品がやはり独自の視点からランキングされていて面

白い。また各ページには適当に脚注もあり、巻末には作品名索引もあって親切である。筆者としてはこの手の本にありが

ちな総花式の小説紹介に終始してしまいがちなのを、ランキング付けするという冒険をすることで上手く免れていることを

評価したい。そのほかにも「文豪架空座談会」などいろいろ工夫されていて、読者はどこから読んでも楽しめるようになっ

ている。

日本語が乱れているといいながら、一番大切な義務教育で使われる国語の教科書の編集に何の見識も見られない現状

つまりはこれが日本人として学ぶべき日本語作品である、という方向性を専門家たちが示せない状況に対して、本書は

文学愛好者集団である『群系』同人たちからのひとつの提言と言えよう。




朝日新聞2006年11月24日付夕刊


に『15歳からのニッポン文学 純文学勝手


にランキング』のことが紹介されました。


金曜夕刊は22面もありますが、そのうち第7面です。


朝日新聞2006年11月24日付け夕刊

(『15歳からのニッポン文学 純文学勝手にランキング』紹介は、囲み部分)



ネット版でも、下の紹介記事は掲載されています。


まだありましたので、URLをつけておきます。





           http://book.asahi.com/clip/TKY200611240239.html



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