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24号(2009冬)時の特集・アピール文

24号(2009冬)時の特集・アピール文

「募集要項」に続いて、三つ(一つ追加)の特集企画について、アピールも発表しておきます

T. 《私の好きな音楽》

 前回の《私の好きな詩》の特集は好評のようでした。今回もその延長で、音楽についての特集を企画しました。音楽の感受を文章で書いてみる特集はめずらしいことと思いますが、同人は言語感覚にすぐれているので、案外おもしろいものが出るのではないか、と思います。
 そもそもアコースティックなサウンドになぜ、われわれが情緒を感じるのか、それ自体が不思議ですが、さらにその情緒・感動がなぜ多くの人に共通し、似たような感受がされるのか、不思議といえば不思議ですね。理性の普遍性と同様に、感受性の普遍性、というのはあるのでしょうか。もちろん、個人によって、あるいは耳を傾ける時と場合によって違いはありましょうが、楽しいとか、悲しそうだ、などという大雑把な情趣は、男女老若、そう変わらないものでしょう。
 芸術の感動はなかなか名状しがたいものですが、ちょうど文学作品がその感覚のあわいを表現するように、音楽でも、あるいは絵画でもそれを、別のパラメーターで表現してみる、それは、案外作品の至高の味わい方にもつながるかもしれません。とにかく挑戦されてみることを。
 今回の特集には、原則として次の二つのジャンルを対象にしたいと思います。


  ・クラッシック音楽の鑑賞(歌詞など、言葉がないもの)
  ・抒情歌・童謡の鑑賞(歌詞と曲想両方の鑑賞)

 まず、「クラッシック音楽の鑑賞」。こちらがとりあえず特集のメインになりますが、同人がお気に入りの曲・楽章について、受容についての自由な鑑賞を試みるものです。バッハ・モーツアルト・ベートーベン・シューベルト・・ワーグナー・ブラームス・チャイコフスキー、あるいは、マーラー・ラヴェルなど、なんでも、一つを取り上げて、メロディーや構成、楽想など、その受容の感覚を言葉で表してみるものです。音楽の素養がある方はむろん、そうでない方でも、自由に書かれるといいと思います(作曲家のエピソードや、その他関連する他の作曲家や曲の言及があっても可)。いわゆる“描写音楽”の、「森の水車」「シンコペイテッド・クロック」「クシコスの郵便馬車」「ハイケンスのセレナード」なども、この「クラッシック」音楽の類として大いに歓迎です(21号の104p参照)。
 「抒情歌・童謡の鑑賞」は、いわば前回の《私の好きな詩》の延長で書かれてもいいか、と思います。「浜辺のうた」「ふるさと」「夏は来ぬ」「朧月夜」「夏の思い出」(夏が来れば思い出す♪)などや、「冬の星座」「故郷の廃家」「庭の千草」などの外国曲でも可。さらに唱歌・童謡など、思い出の歌など、取り上げてください。こちらは、“歌詞”がありますので、それらを掲出して、その情緒をそのまま鑑賞文にしますが、前回の《詩》の場合と違うのは、曲想・メロディーについての感じも文章に織り込んで表現するということでしょう。
 ペ

ージ数はおおむね2〜4ページ(おおよそ2千〜4千字。当該の詩篇も書き込む)が推奨ですが、ながくなっても可。
 編集部としては、A、Bともに、5〜10篇、を見込んでいます。


U.《生誕百年の作家たち》 (23号の続編)

 前回の要項でも紹介しましたが、「中央公論」本年2月号に、「生誕100年の作家たちを読み直す」の特集がありますが、そこで扱われている作家は次の5人です。
 大岡昇平(1909〜1992)79歳
 中島 敦(1909〜1941)33歳
 太宰 治(1909〜1948)39歳
 埴谷雄高(1909〜1997)88歳
 松本清張(1909〜1992)82歳
 これらの作家の一人(あるいは二人など)の作品論、作家論、作家・作品についての論文、エッセイなど募集します。
 各作家への本誌の過去の特集、同人の研究動向を簡単に書いておきます。

大岡昇平(1909〜1992)
 「群系」誌では過去に何度か大岡の特集を組んでいます(7・9・10¥11・12号)。研究同人も多いです。
→群系HPで調べると、大岡についての論文・エッセイ類は1〜18号まででも29本ありました。
これらを、今回作品ごとに、コピペしてみますと、以下のようでした。
大岡昇平

「俘虜記」   関塚 誠  20号  長野克彦 18号
「野火」    関塚 誠 14号
「出征」    関塚 誠 11号
「少年」    関塚 誠 10号
「将門記」   木下 操 6号  関塚 誠 13号

「雅歌」論   河野基樹 9号

「武蔵野夫人」 永野 悟  7

「花影」 小野憲男 4号  関塚 誠 9号  取井 一  7号

「レイテ戦記」 長野克彦  20号  関塚 誠  19号
「事件」    取井 一  10号

「愛について」 永野 悟  9号
「お艶殺し」  野寄 勉 10号
「来宮心中」  野寄 勉  9号
「一寸法師後日譚」 野寄 勉  8号
「清姫」 野寄 勉  

「ミンドロ島ふたたび」 野寄 勉  6号
「振分け髪」      野寄 勉  5号

スタンダール  河野基樹 11号 関塚 誠 23号
ジイド        河野基樹 10号
【紹介】花崎育代著「大岡昇平研究」   野寄 勉 17号

《窓》 一九九四年の大岡昇平  野寄 勉  7号
【書評】樋口覚著「三人の跫音―大岡・富永・中原」   安宅夏夫  7号            

大岡昇平・石原吉郎との対談 野寄 勉 12号
 作品論とそのタイトルの参考でしたが、作品論以外に、たとえば「大岡昇平と小林秀雄」「大岡昇平と中原中也」などのテーマなどもいいかと存じます。

中島 敦(1909〜1941)
 東京市四谷区箪笥町生まれ。1942年「文学界」に「古譚」の名で「山月記」と「文字禍」が掲載され、「光と風と夢」で芥川賞候補になり活躍が期待されたが、持病の喘息が悪化し同年12月4日死去。遺稿「李陵」「弟子」が発表され、類まれな才知の早世が惜しまれた。([青空文庫」より)
中島敦については、著作権が切れて、作品は「青空文庫」で見られます。下にURLを示しましたが、作家名で検索すれば、すぐ出てきます。
 http://www.aozora.gr.jp/cards/000119/card4336.html

太宰 治(1909〜1948)
 21号で特集(太宰治と三島由紀夫)、その際の論考・エッセイが10本、その他、18号(戦後六〇年の文学)、19号(特集 昭和文学)、20号(総力特集 昭和のあゆみ)、そして22号、23号(最新号)にも、それぞれ太宰治についての論考・エッセイが見られ、同人のあいだでも、人気があります。改めて、斬新な作品論・作家論を求めます。
 また太宰治は、その人間関係、すなわち師弟・友人も多彩ですので、「太宰と○○」のかたちでもいいと思います。
 ちなみに、友人や弟子や慕った人は、Wikipediaによると、「関連人物」に、54人の人たちがあげられていて、まずその数に驚かされます(亀井勝一郎、伊馬春部、今官一、堤重久、菊田義孝、別所直樹、山岸外史、檀一雄、坂口安吾、井伏鱒二などなど)。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%AA%E5%AE%B0%E6%B2%BB を参照。
 あるいは、エッセイ風に、この“国民作家”のどこが魅力か、「私の太宰治」というかたちでつづるもいいですね(他の作家でもいいです)。

埴谷雄高(1909〜1997)
 埴谷についての論考・エッセイは既刊号では、前号で一つありましたが、今回の投稿が待たれます。例えば、雑誌「近代文学」の同人との関係、あるいは、「大岡昇平・埴谷雄高二つの同時代史」(岩波書店)のような対談集、あるいは埴谷のドストエフスキー関係の本などの感想でもいいと思います。

松本清張(1909〜1992)
 この作家も既刊号で扱ったものは一つしかありませんでした。本誌は純文学℃u向があるせいかもしれません。冒頭の「中央公論」本年2月号特集における座談会出席者たち(加藤典洋・高橋源一郎・関川夏央)も、意外に「清張は読んでないなあ」と言っていますし、筑摩書房版「現代日本文学全集」(全部で143冊)にも清張作品ははいっておらず、中央公論社の「日本の文学」にも入っていないそうです(編集委員の三島由紀夫が猛烈に反対したそうで。理由は清張が「社会派」と呼ばれることへの三島の強い抵抗感があり、「宴のあと」のような社会派小説を掛けるのは自分だけだとの自負があったとか)。でも、清張こそは、プロレタリア文学が成し遂げようとして為し得なかった日本資本主義、その腐敗構造にメスを入れ、推理小説仕立てとして圧倒的人気を得たのでした。(特に戦後、発達してきた週刊誌や文庫、あるいは映画・テレビなど、発達してきたメディアとの双輪関係で)。最近でもドラマが話題になったり、同人の間でも根強いファンが多かったです(合評会後の飲み会)。


V.68〜69年 学生たちの叛乱

このテーマに関しては、現存する当事者たちの個人的に関係すること、政治的な問題であるなど、世代による受け止めが違う、あるいは何よりもいまだに評価や整理がついてない、など理由で今まで各雑誌でもあまり扱われていなかったのですが、当時から40年の区切りのいま、思い出や考察などエッセイを少しでも、掲載したいと思います。実際の活動以外に、吉本隆明などの読書体験や、あるいは、当時の運動をテーマにした小説のレビューなど、待たれます。

参考図書

「1968年」(ちくま新書)? 秀実(1949年生れ)、                                           「吉本隆明1968」(平凡社新書)鹿島茂(1949年生れ)、                                      「永遠の吉本隆明」(洋泉社新書)橋爪大三郎(48年生れ。東工大教授)、                           「吉本隆明に関する12章」(洋泉社新書)(斎藤慎爾。39年生れ)

小説キーワード:学生運動

桐山襲「風のクロニクル」-劇中劇のモデルになっているのは早大全共闘。真摯な青春と内ゲバの陰惨さ。
倉橋由美子「パルタイ」-当時学生に流行していた実存主義。実存主義的学生運動。
鴻上尚史「僕たちの好きだった革命」
柴田翔「されど われらが日々――」
高橋和巳「憂鬱なる党派
立松和平「光の雨」いわゆる連合赤軍リンチ事件がテーマ。
筒井康隆「革命のふたつの夜」
野沢尚「反乱のボヤージュ」
兵頭正俊「全共闘記
三田誠広僕って何」-モデルは早大全共闘。一種の流行としての学生運動。                        星野光徳「おれたちの熱い季節」-河出「文藝賞」受賞。新宿騒乱事件の盛り上がりを描く(野間宏選評)三田誠広漂流記1972」-モデルは浅間山荘事件。内ゲバに至る過程を描く。
村上龍69 sixty nine」-作者自身が参加した佐世保北高校の紛争がモデル。「お祭り」「馬鹿騒ぎ」的な学生運動。

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