『群系』 (文芸誌)ホームページ 



平成年間の作家と作品 


         (『文藝年鑑』《文学》概観より)



2006年度 執筆者安藤礼二 

作者 作品(本の名) 出版社名

小島信夫  残光 新潮社

保坂和志  小説の誕生 新潮社

古井由吉  辻 新潮社

黒井千次   一日 夢の柵 講談社

小川洋子   ミーナの行進 中央公論新社

川上弘美   真鶴 文藝春秋社

笙野頼子  一、二、三、死、今日を生きよう!成田参拝 集英社

笙野頼子  水晶内制度 02年

笙野頼子  金毘羅 04年

古川日出男 LOVE 祥伝社

古川日出男 狗塚らいてうによる「おばあちゃんの歴史」 すばる6月号

舞城王太郎 SPEED BOY! 講談社

佐藤友哉  1000の小説とバックベアード 新潮 12月号

伊藤たかみ 八月の路上に捨てる 文藝春秋社

青山七恵  ひとり日和 河出書房新社

中原昌也  名もなき孤児たちの巣 新潮社

星野智幸  植物診断室 文藝春秋

金原ひとみ オートフィクション 集英社

綿矢りさ   夢を与える 河出書房新社

多和田葉子 アメリカ 非道の大陸 青土社

多和田葉子 海に落とした名前 新潮社

村上春樹  グレート・キャツビー(翻訳) 中央公論新社

四方田犬彦 ダルウィーシュ詩集『壁に描く』(翻訳) 書肆山田

四方田犬彦 パレスチナ・ナウ 作品社



2005年度 執筆者 川村 湊

作者 作品(本の名) 出版社名

白岩 玄  ノブタ。をプロデュース

三並 夏  平成マガジンズ

絲山秋子  ニート 角川書店

角田光代  エコノミカル・パレス 講談社文庫

角田光代  対岸の彼女 文藝春秋

角田光代  おやすみ、こわい夢を見ないように 新潮社

絲山秋子  袋小路の男 講談社

絲山秋子  沖で待つ 文藝春秋

角田光代  まどろむ夜のUFO 講談社文庫

角田光代  真昼の花 新潮文庫

山田詠美  風味絶佳 文藝春秋

笙野頼子  なにもしてない 講談社文庫

川上弘美  センセイの鞄 新潮文庫

星野智幸  在日プロシヤ人の悲劇 講談社

星野智幸  虹とクロエの物語 河出書房新社

中村文則  土の中の子供 新潮文庫

宮内勝典  焼身 集英社

沢木耕太郎 凍 新潮社

西村賢太  どうで死ぬ身の一踊り 講談社

村上 龍  半島を出でよ 幻冬社

リービ英雄 千々にくだけて 講談社

樋口直哉  月とアルマジロ 講談社

中島たい子 そろそろ来る 集英社

高瀬ちひろ  踊るナマズ 集英社

三浦雅士  出生の秘密 講談社

三木 卓  北原白秋 筑摩書房

筒井清忠  西條八十 中央公論新社

川西政明  武田泰淳伝 講談社

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2004年度 執筆者川村 湊

作者 作品(本の名) 出版社名

柄谷行人   日本近代文学の終焉  早稲田文学(講演録)

川西政明   小説の終焉 岩波新書

綿矢りさ    蹴りたい背中河出書房新社

金原ひとみ  蛇にピアス集英社

モブ・モリオ  介護入門

金原ひとみ  アッシュベイビー

島本理生   生まれる森

山崎ナオコーラ 人のセックスを笑うな

白岩 玄    ノブタ。をプロデュース

柳美里     8月の果て

玄月       異物

松浦寿輝半   島

松浦寿輝    あやめ 蝶 ひかがみ(短編集)

堀江敏幸    河岸忘日抄

笙野頼子    金毘羅

津島祐子    ナラ・レポート

大庭みな子   (監修) テーマで読み解く日本の文学 上・下

小川洋子    博士の愛した数式新潮社

小川洋子    ブラフマンの埋葬

佐伯一麦    鉄塔家族

飯嶋 和    黄金旅風

伊藤比呂美  日本ノ霊異ナ話

安達千夏    おはなしの日

阿部和重    グランド・フィナーレ

星野智幸    アルカロイド・ラヴァーズ

舞城王太郎   好き好き大好き超愛している2004年講談社

舞城王太郎   みんな元気2004年新潮社

村上春樹    アフターダーク講談社

中村文則    遮光

中村 航    ぐるぐるまわるすべり台文春文庫

井上ひさし・小森陽一   座談会 昭和文学史

大塚英志    サブカルチャー文学論朝日新聞社 2,800円





2003年度執筆者 沼野充義

作者 作品(本の名) 出版社名

丸谷才一輝く日の宮講談社文庫 770円

池澤夏樹静かな大地朝日新聞社

保坂和志カンバセイション・ピース新潮社

島田雅彦美しい魂新潮社

阿部和重シンセミア朝日新聞社

山田詠美PAY DAY!!(ペイ・デイ!!!)新潮社

吉田知子日本難民新潮社

町田 康権現の踊り子(短編集)講談社

伊井直行お母さんの恋人講談社

よしもとばななデッドエンドの思い出文藝春秋

笙野頼子水晶内制度新潮社

堀江敏幸霊沼とその周辺(連作短篇集)新潮社

小川洋子博士の愛した数式新潮社

青山光二吾妹子哀し新潮社

三浦俊彦シンクロナイズド岩波書店

大江健三郎二百年の子供中央公論新書

山崎佳世子そこから青い闇がささやき河出書房新社

三浦雅士村上春樹と柴田元幸のもうひとつのアメリカ新書館

夏石番矢世界俳句入門沖積社

ディヴッド・ダムロッシュ世界文学とは何かプリンストン大学出版部

サリンジャーキャッチャー・イン・ザ・ライ(村上春樹訳)白水社

ピアソン甘美なる来世へ(柴田元幸訳)みすず書房

ゼーバルトアウステルリッツ(鈴木仁子訳)白水社





2002年度執筆者 沼野充義

作者 作品(本の名) 出版社名

高村 薫晴子情歌新潮社

平野啓一郎葬送新潮社

村上春樹海辺のカフカ新潮社

大江健三郎憂い顔の童子講談社

古井由吉忿翁(連作短篇集)新潮社

立松和平日高新潮社

高橋源一郎官能小説家(長編)朝日新聞社

高橋源一郎君が代は千代に八千代に文藝春秋

奥泉 光浪漫的な行軍の記録(長編)講談社

大岡 玲ブラック・マジック文藝春秋

島田雅彦フランシスコ・X(歴史長編)講談社

川上弘美龍宮(連作短篇)文藝春秋

長嶋 有猛スピードで母は(芥川賞)文藝春秋

吉田修一パークライフ(芥川賞)文藝春秋

吉田修一パレード(長編)山本周五郎賞幻冬社

大道珠貴裸(短編集)文藝春秋

大道珠貴しょっぱいドライブ(芥川賞)文藝春秋

島本理生リトル・バイ・リトル「群像』2002.11月

日野啓三落葉 神の小さな庭で(短編集)集英社

小野正嗣にぎやかな湾に背負われた船(長編・三島賞)朝日新聞社

多和田葉子容疑者の夜行列車青土社

リービ英雄ヘンリーたけしレウィツキーの夏の紀行講談社

黒川 創イカロスの森 新潮社

今福龍太「私」の探究 (下のシリーズ)岩波書店

池澤夏樹・斎藤美奈子他21世紀 文学の創造(全9巻 別巻1)岩波書店

小森陽一・兵藤裕巳他岩波講座「文学」岩波書店



2001年度執筆者 小森陽一

作者 作品(本の名) 出版社名

リービ英雄蚊と蠅のダンス「群像」3月号

リービ英雄日本語を書く部屋岩波書店

金石範キムソクポム満月「群像」4月号

金石範/著 金時鐘/著 文京洙/編なぜ書きつづけてきたかなぜ沈黙してきたか 済州島
四・三事件の記憶と文学平凡社 2001年11月 2,520円(税込)

島田雅彦フランシスコ・X(歴史長編)「群像」連載

目取真俊群蝶の木朝日新聞社

阿部和重ニッポニアニッポン「新潮」6月号

伊藤比呂美スリー・りろ・ジャパニーズ「新潮」7月号

星野智幸毒身帰属「中央公論』8月号

星野智幸毒身温泉「群像』12月号

水村美苗私小説fromlefttoright新潮文庫1998/10/1

水村美苗本格小説(連載完結→文庫化 上下)新潮文庫2005年12月



冒頭文より

21世紀の最初の年「日本文学」という幻想を崩壊させ、「日本語文学」へと認識を転向させる
力が着実に根を広げてきている。日本という国家、日本人という国籍、日本語という国家語を、
三位一体のように結合した単一「民族」幻想と、それを前提にした文化特殊性論に縛られた
「日本文学」という枷から、自らを解放しようとする表現者の営みが、いくつもの支流の合流点
を形成しつつある。



金石範キムソクポム火山島〈全7巻〉 (単行本) 文藝春秋 (1997/09)

本文より

金石範は、一貫して一九四八年に発生した済州島四・三虐殺事件の記憶を、ことばにすること
によって小説を書き継いできた作家である。昭和天皇がポツダム宣言の受諾を引き延ばした
ことが重要な要員となって、ソ連とアメリカに分割占領された朝鮮半島の、一つの象徴的事件
として四・三事件は発生した。



2000年度執筆者 小森陽一

作者 作品(本の名) 出版社名

飯嶋和一始祖鳥記小学館文庫 2002年12月

安岡章太郎鏡川新潮社 2004/05

安岡章太郎流離譚 上下講談社文藝文庫2000年02月

玄月悪い噂文藝春秋 1,200円

玄月蔭の棲みか(芥川賞) 2000.3文藝春秋 1,300円

久間十義オニビシ講談社 1,890円

南條竹則あくび猫 2000年09月文藝春秋 1,950円

古井由吉聖耳 2000-09-18講談社 \2,310(税込)

久世光彦蕭々館日録中公文庫 820円

楠見 朋彦マルコ・ポーロと私2000年07月集英社 1365円

高橋源一郎日本文学盛衰史 2001.5講談社 2625円

黒井千次羽根と翼 2000.7講談社 2100円

津島佑子笑いオオカミ 2000年11月新潮社 1995円

林京子長い時間をかけた人間の経験講談社学芸文庫 1260円

大江健三郎取り替え子 チェンジリング講談社



1999年度執筆者 川村 湊

作者 作品(本の名) 出版社名

江藤淳の自殺1999の夏

江藤淳妻と私・幼年時代文春文庫 450円

大江健三郎の復活£返り  1999年

燃え上がる緑の木 三部作 1993〜95年

1.「救い主」が殴られるまで 1993

2.揺れ動く(ヴァシレーション)1994

3.大いなる日に 1995年

外国特派員への言葉「一人称ではもう書かない。今の主題を捨てて違う主題を探すつもりだ。

それには恐らく20年を要するだろう。その頃には死んでいるでしょう」

NHKスペシャル「響きあう父と子 〜大江健三郎と息子 光の30年〜」

 1994年(平成6年)9月18日(NHK総合テレビ)放送:59分

石原慎太郎1999年から都知事(三期)国家なる幻影 聖餐

清岡卓行マロニエの花が言った新潮社 3675円

三木 卓裸足と貝殻集英社文庫 800円

古山高麗雄フーコン戦記文迎春秋 1800円

戦争文学三部作『断作戦』『龍陵会戦』『フーコン戦記』文春文庫

高井有一高らかな挽歌新潮社 2625円

津村節子瑠璃色の石(自伝小説)新潮文庫 460円

1928〜1965年「玩具」で芥川賞

井上ひさし東京セブンローズ文春文庫 上下

小林恭二父新潮社 新潮文庫も

1957年11月9日−ゼウスガーデン衰亡史(第1回三島由紀夫賞候補作)

小林信彦1932年12月12日 -  1964年 -「衰亡記」で52回直木賞候補

実弟の小林泰彦はイラストレーター

加賀乙彦高山右近講談社文庫 660円

中沢けい豆畑の夜講談社

辻原登遊動亭円木文春文庫 590円

1945年12月15日 -平成2年 中編小説 『村の名前』 (第103回(平成2年上半期)芥川賞受賞)

高樹のぶ子百年の預言 上下朝日新聞社

津島佑子私(短編集)

川上弘美溺レる文春文庫 420円

村上 龍共生虫(ひこもり)講談社文庫 560円

村上春樹地震のあとで(連作)「新潮」に連載

2000年2月 『神の子どもたちはみな踊る』に所収

J文学作家藤沢周礫(れき)1999・講談社

赤坂真理ミューズ 第22回野間文芸新人賞受賞、芥川賞候補講談社文庫 490円

鈴木清剛ロックンロールミシン新潮文庫 380円

星野智幸嫐嬲(なぶりあい)「文藝》掲載 河出書房新社

藤野千夜夏の約束講談社 同文庫

濱田順子Tiny、tiny (文藝賞)河出書房新社 1260円

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               平成二〇年間の文学の検証を!

                   

                                        「群系」22号 《特集》平成二〇年間の文学、のアピール文

                             

                                  2008年7月10日 旧版群系(3版)HP掲載


                                   2015年1月15日 第5版HP(これです)再掲出

 

                                            

 あ、という間ではなかったか。平成二〇年を迎えるのが、である。大正の一五年より長い年月

を重ねたのである。だが、わたしたちは、この年月を自覚できていない。何がなんだかわからない

ままに、日々を重ねた。昭和の終焉はドラマチックだった。だがその後の世界史の展開に目くるめ

いたのか、東欧・ソ連崩壊、その後の湾岸戦争まではいいとして、なにやら国内は微妙な空気で

あった。消費税導入以後、バブル崩壊の付けか、住専だの、大手銀行への公的資金注入だの、

そのうちあれよあれよの間に、国家の累積赤字が何百兆だとか、そのうちオウム事件があり、阪

神大震災があった。それに対する抵抗とか、運動とかはあったのか。若者はかつてのようではなく、

折りからのIT情報革命に乗じ、ファンドに狂奔するさまだ。思想はなくなり、経済格差は当然となり

学問は制度化し、マスコミは自ら社会の木鐸たることを排した。人々は何も信用しなくなっている。

本来あってよい権威も、英雄も、ない。シニシズムだけが人々を覆う。平成になって、少しマシだっ

たはずの、「朝まで生テレビ」などの公開討論は、しかし、野坂昭如や大島渚などの退陣以降、自

己否定を知らぬ、政党人・タレントの巣窟と成り果てた。その中で、文学は、如何?なにも、文学

の特権あげつらうのではないが、そうした状況を最後に見つめているものではないか。

 平成文学≠ニいうものはあるのか。若い作者の暴力とSEX、麻薬と自閉した自己、社会的

無関心、このように括られがちだが、しかし、検証すれば、何かみつけうるのである。時代の空気

(「KY」という言葉もいわれた)は、実はマスコミが作るのではなく、文学や思想の営みの中から

形成される。マスコミの愚劣は、いまに始まらない。過去、どんなに扇情的な、猥雑な報道がなさ

れたか、戦争文学≠フ研究会を長く主宰したわれわれは検証した。その中に、報道班員や従

軍作家として文学が時代に棹さされるままであったのも見た。あるいは、過ぐる学生運動、思想の

疾風怒濤のときさえわれわれはいかに個人がそれに悲傷され、追いやられるかも見た。

 いまという時代をただ、否定するのではない。現象的な否定面を乗り越える果実を確認したい

のである。試みに『文藝年鑑』(文芸家協会編)の「年度の概観」をみればいかに豊饒な収穫が各

年度にあったか、一瞥できよう。先に昭和のあゆみ≠特集し、われわれの基礎≠ニなる時

空間の検証をおこなった。いま、「現在」につながる現代≠フ検証を、一人一人が気になった平

成年間の作品を論ずることで手がけようではないか。  


                                2008.7月






    

『文藝年鑑』2006〜1988(平成年間)の項目担当執筆者



     年度   文学   日本文学古典  日本文学近代  文芸評論 ノンフィクション

2006  安藤礼二  三田村雅子   石原千秋  富岡幸一郎  岡崎武志

2005  川村 湊   三田村雅子   鈴木貞文  富岡幸一郎  岡崎武志

2004  川村 湊   古橋信孝    紅野謙介  加藤弘一   鎌田 慧

2003  沼野充義  古橋信孝    紅野謙介  加藤弘一  鎌田 慧

2002  沼野充義  松岡心平    安藤 宏   樋口 覚  井家上隆幸

2001  小森陽一  三田村雅子   安藤 宏   井口時男  井家上隆幸

2000  小森陽一  三田村雅子   東郷克美  井口時男  藤田昌司

1999  川村 湊   上野要三    東郷克美   大杉重男  藤田昌司

1998  川村 湊   上野要三    曽根博義   大杉重男  植田康夫

1997  菅野昭正  三谷邦明    曽根博義   川村 湊  植田康夫

1996  菅野昭正  三谷邦明    大久保典夫  川村 湊

1995  松原新一  高田 衛    大久保典夫  清水良典  井家上隆幸

1994  松原新一  高田 衛    紅野敏郎    清水良典  池田房雄

1993  菅野昭正  兵藤裕巳    紅野敏郎   富岡幸一郎 池田房雄

1992  菅野昭正  兵藤裕巳    平岡敏夫   富岡幸一郎 植田康夫

1991  野口武彦  三浦祐之    平岡敏夫   菅野昭正  植田康夫

1990  野口武彦  三浦祐之   鳥居邦朗    菅野昭正  春名 徹

1989  川村 湊   古橋信孝     鳥居邦朗   富岡幸一郎  春名 徹

1988  川村 湊   古橋信孝    中島国彦   鈴木貞美

※ 平成改元前後(1990年前後)には、以下の項目も見受けられる。

1991  桶谷秀昭 文学をめぐる社会的思想的状況 青木 保 思潮と学問

1990  桶谷秀昭 文学をめぐる社会的思想的状況 青木 保 思潮と学問

1989  松本健一 文学をめぐる社会的思想的状況 青木 保 思潮と学問

1988  松本健一 文学をめぐる社会的思想的状況 青木 保 思潮と学問






    


    『文藝年鑑』(日本文藝家協会編)





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